
企業バリューは“社会性”で決まる時代
――単なる利益の追求から、社会課題の解決へ。私たちネスタが目指すのは、「社会性」を軸とした価値創出です。
私たちは、マーケティング会社の枠を越えて、存在意義そのものを見直しています。そこにおいて欠かせない概念が「社会性」です。CSRやSDGsといった外付けの装飾ではなく、経営の中核に組み込むべき本質として、私たちはこの社会性を位置付けています。
かつて昭和や平成初期の日本では、物資や利便性に対する明確なニーズがありました。
しかし、リーマンショックで私たちは強欲がもたらす大きな弊害を経験しました。
そして、コロナ禍によって人間関係の気薄になった体験によって、私たちに本当に必要なものを感じさせました。
そんな危機と言われる時期を経た今、人々は”物”だけでは満たされないことを実感しています。
むしろ、過剰に供給されたプロダクトの中で、私たちが求めているのは「人間性」や「社会性」といったソフトウェア的価値を内包した商品やサービスではないでしょうか。
目次
ハードとソフトの融合が求められる時代
たとえばiPhoneは、デバイスというハードウェアに、革新的なソフトウェアを組み合わせることで、新しいライフスタイルを創出しました。今やデバイス性能の差は飽和し、AppleはAIを含むソフトウェアへの投資を強化する方向へとシフトしています。
また、スターバックスは「第三の場所」というコンセプトにより、単なる場所であるカフェを“体験”として再定義しました。空間・ストーリー・社会貢献を組み合わせたブランディングは、今やフェアトレードやサステナビリティといった社会性の強化にまで踏み込んでいます。イケアやAmazonも同様に、ソフトな社会的価値との連動によって、ブランドを進化させています。
私たち中小企業にとって、同様のソフトウェア開発や研究投資は簡単ではありません。しかし、社会問題への姿勢を明確にし、共感されるスタンスを持つことこそが、差別化の第一歩となります。
「ふわっとしたニーズ」しか残されていない
これまでのマーケティングでは、明確なターゲット設定が主流でした。ところが現在では、大きな課題はすでに解決されつつあり、「大多数の明確なニーズ」が存在しにくい社会に移行しています。
今、生活者の多くが抱えているのは「なんとなく使いづらい」「もう少し便利なら嬉しい」といった、曖昧で掴みづらい“ふわっとしたニーズ”です。この時代においては、絞り込みすぎたターゲティングはむしろリスクとなります。
実際に弊社が運用する子育てカフェのニーズは強烈にあるものの、以前よりも社会整備の変化とともに気薄になりつつあります。しかし、子育てをする中で「なんとなく生きづらい」「社会とのつながりが欲しい」「同じ子育て世代と子供も楽しみつつ自分も楽しみたい」などふわっとしたニーズは常にくすぶり続けています。
だからこそ、私たちは「社会課題に向き合う企業」としてのスタンスを明確に持つことが、ブランド選好の大きな判断軸になります。同じ方向性で考え、行動する企業が支持される時代だからです。
ブランドは“人”に宿る
このような曖昧な時代において、もっとも強力なブランド形成の方法は、「代表が語ること」だと私たちは考えます。
人は組織よりも“人”に共感しやすい。だからこそ、企業の思想や想いを、経営者や創業者が直接言葉にし、継続的に発信していくことが、最も伝わりやすく、最も共感されるブランディング手法になります。
たとえば、馴染みの飲食店に何度も足を運ぶ理由は、味だけでなく「人」に惹かれているからです。その“人”の魅力が、結果的に店舗やサービスの価値を高めるのです。
社会性こそが企業の競争力になる
ソフトウェア開発や大規模なR&Dが難しくとも、私たちは次の3つを通じて企業バリューを高められると確信しています。
- 社会課題解決へのスタンスを明確にする
- 同じ方向を向く人々に言葉で語りかける
- それを繰り返し、継続的に発信する
この積み重ねこそが、他社との差異を生み、持続可能な競争力へと転換していくのです。
私たちネスタは、社会性を軸にした価値提供を続けながら、共感され、選ばれ続ける企業を目指します。