SNSマーケティングを始めるにあたって必要な事 ①KGI、KPI設定と全体への共有

今回から複数回に渡って「SNSを始めるにあたって必要なこと」と題した連載記事を書くこととしました。
全体感の理解と抑えておきたいポイントを盛り込んだ、弊社のノウハウを惜しげもなく公開します!
それでは、第1回「KGI、KPI設定と全体への共有」の始まりです!
 

情報収集手段の変化と、企業の足取り

SNSは着実にユーザーの生活に根付き、情報収集のメイン媒体になりつつあります。
コミュニケーションを通じての口コミや、商品の使用感などを気軽に共有できるようになりました。
詳しくはこちらから→
このようなユーザーの情報収集の変化に、企業が追いついていない現状があります。
 
もちろん企業においても、「情報発信やユーザーコミュニケーションのためにSNSを運用していかなくてはいけない」というのは頭ではわかっているはずです。
けれど、重い腰が上がらないマーケティング担当者さんが沢山いる。それは何故でしょう?
 
・どのように始めてたらいいのかわからない
・うちの業界では関係ない
・費用対効果が明確でない
・炎上したらどうするのか

などなど、やらない理由は多々あるかと思いますが、SNSマーケティングを始めたいと思ってる企業で二の足を踏んでいる最大の理由は、

 「何をするのか良くわからない!」 

だと感じております。
 
 

一番最初はゴール設定と中間地点の数値設定!

SNSマーケティングの長い長い道も一歩目から始まります!
では一歩目はどこに踏み出しましょう?
 
旅行でも休みが取れたら、一番最初に「どこに行くか」を考えますね。
目的地が決まらなければ旅行の準備ができません!
アラスカでオーロラを見るなら完全防備に望遠鏡、高性能カメラの準備をしなければいけません。
反対にハワイに行くならばアロハシャツと日焼け止め、水着も必要です。
 
つまり、SNSマーケティングでも「行き先」=「ゴール」がどこになるかで大きく準備することが変わります。
SNSの運用で達成したい目的はなんですか?
 
・ユーザーとの直接的なコミュニケーションが取りたい(メーカー)
・SNSでブランディングを加速したい(アプリ運営会社)
・販売促進の一つとしたい(小売)
・会員を増やしたい(組合組織)
・有効なリード(見込み顧客)の確保をしたい(BtoB企業)

などなど、業種や業態によって達成したいことは異なります。
 
ちなみに弊社はBtoB企業の「興味のあるユーザーを集めたい」です。
ココがゴールです。ユーザーが集まったら営業がコンタクトを取る、またはメールアドレスをいただきコミュニケーションをとります。この話は第5章でお話します。
 
『ゴールの決定』は、実はとてつもなく複雑なプロセスが必要な場合が多いのです。
担当者が勝手に決めることができず、組織のTOP(社長や会長さん)まで確認が必要なためです。意思決定で関係する人間が共通のゴールを描けないと、途中で行き先が変わったりします。ハワイに行く予定だったのに、アラスカに方向転換になったら、かなり高い確率で凍え死んでしまいます。(笑い話でなくこれがどの組織でも頻繁に起こります。。。)
 
運用の開始前にしっかりと関係者の中で『決め事』をすることがスムーズな運用のキーになります。
 
 

KGI、KPIの設定と数値の違い

さて、ゴールを決めるという大きな決断をした後で、今度は最終的なゴールを数値化していきます。
抽象的な言葉だけではアクションに結びつかないので、数値化しアクションを具体的に起こさせるのです。

例えば
・ユーザーとの直接的なコミュニケーションが取りたい(メーカー)
 KGI=ユーザーとのコミュニケーション回数
 KGI=期間内のアンケート総数
 KGI=ユーザーとのエンゲージメント率
 
・SNSでブランディングを加速したい(アプリ運営会社)
 KGI=エンゲージメント率
 KGI=リーチ率
 
・販売促進の一つとしたい(小売)
 KGI=購入金額
 
・会員を増やしたい(組合組織)
 KGI=SNSからの会員獲得
 
・有効なリード(見込み顧客)の確保をしたい(BtoB企業)
 KGI=リード獲得数、顧客転換率
 
気をつけたいのは KGIは絶対に一つ だということです。
十分に検討をして関係者全員が納得いく数値目標=KGIを決めましょう。
 
KGI・KPI決定プロセス
 

KGI(目的地)までの順路を数値化したものがKPI

KPIという言葉はよく聞くと思います。旅行で言うと移動に関する具体的なスケジュールです。つまり電車の出発時刻、飛行機のトランジット時間、タクシーをどこで拾って15分でホテルにチェックイン、というものです。
 
うん?ちょっと待ってください。「何で移動するか」を決めていないと具体的な時刻表は決められません!
ゆっくり船旅だっていいですし、豪華鉄道の旅なんてものいいです。究極はヒッチハイクも手段の一つです。
旅行ならいつもと違った方法で旅を楽しんでもいいはずですが、ことビジネスとなると最短の移動を常に考えがちです。
 
つまり、多くの企業で間違えるのが、具体的な数字が羅列されているモノがKPIだと勘違いしていることです。
どうやって目標を達成できるかのアクションに相当する部分が考えられていない、ということです。
このアクションのことをCSF(主要成功要因)といいます。これがどうやって目的地に行くか、を決めるということです。
 
また、 KPIはKGIと同様に設定できるのは一個だけ です。これはリクルート社で「数字の読み方」の社内講師をしていた中尾隆一郎さんの著書にもありますし、弊社の知見でもあります。

詳しく知りたい方はこちらからどうぞ。

数値の羅列になると3つ、4つとKPIが増えてきます。
 
成果の出るアクションをしっかりと考え、その次に数値の設定をしましょう。
 
例えば
・有効なリード(見込み顧客)の確保をしたい(BtoB企業)
ゴールは
 SNSからの見込み顧客を得る
です。
 
しかしゴールはSNSを通じて得られたリードを成約して利益を上げることです。
そこで採用されたKGIが『成約金額』になります。
広告、運用に掛けた費用から、いくら見込み顧客が購入してくれたか、をゴールとします。
 
では、購入=ゴールまでの道筋で、大事な要素をピックアップしましょう。
 
成約までのプロセス例
 
獲得までの道筋はマーケティングと営業の要素で成り立っています。
営業の活動部分にKPIを設定すると、SNSでの成果が曖昧になります。そこで、SNS上での活動の数値で検討をします。
 
SNSキャンペーンを見たユーザーを最大化しても、実際にリード情報を得られるわけではありません。
同様にクリックするくらいには興味があるけれど、メールアドレスは入力しないユーザーも同様です。
 
つまり、CSF(主要成功要因)はニーズが高く、問題を解決したいと望んでいる③のキャンペーンにメールアドレスを入れたユーザーを獲得することだとわかります。
 
そのCSFを数値化したものがKPIとなります。
一つづつ順を追って行動をなぞることで、ユーザーの動きに焦点が当たり全体の流れの中でのKPIがつかめてきます。
 
複数のKPIを設定する、複雑な計算式で数値を求めるなどは極力避けましょう。 
 シンプルで、行動の要になる数値が一番効果的なKPI となります。
 
KGI・CSF・KPIの関係性
 

最初に方向転換の責任者を決めておく

KPIの設定が完了したら運用に入っていくのですが、その前にもう一つだけ決め事をします。KPIが達成困難、又は数値が動かない場合などは変更(ピボット)が必要になります。担当者だけでは変更は容易ではありません。上層部への共有がなければ変更できないからです。
 
KPIを設定する際にあわせて、『期限』と『責任者』を決めておきましょう。
3ヶ月後に設定KPIに到達しなければアクションを見直し数値を変更する、というようにです。
決定責任者はできるだけ経営者など最終決定者に近い方が良いでしょう。
 
 

まとめ

こういった目標に対する指数が固まってから運用を始めると、施策がぶれずにスムーズに運用ができます。
また、全体の想定を行っているので、成果が出ない場合はどこの数値が伸びていないのか、が瞬時に理解でき、対策を立てることが可能になります。

SNSの運用は一度始めるとストップするのが難しくなりますので、明確なKGI、KPIを設定し、挑戦と改善を繰り返すプロセスが必要になります。
 
次回は実際に投稿する前の準備と、運用に関する考察を続けます。