観光列車に見る“顧客体験”のお話

例えば話題になっている(もう当たり前になってきてる?)観光列車を例に「顧客体験」を考えて見ましょう!

社内のしつらえや総工費、食事などが注目されることが多いのですが、ビジネスとして考えたとき、顧客体験の理解が成功の鍵となったのではないかと思うことが多くあります。

“移動手段”として見た、鉄道旅行

従来の鉄道会社の考え方だと、お客さんが旅行に行きたい、と考えたとき
▼移動という手段にお金を払ってもらえればいい。(当日長い行列に並んで窓口でチケットを買う)
▼乗り心地なんか関係ない。(硬いシートでお尻がゴアゴア)
▼回転率を上げるために、安全を確保した上で一番早く運ぶ。(窓の外が見づらい席でもがまんがまん)
▼おなかが減ったら、自販機でお茶を買って、冷めた駅弁を食べて旅行すればいい、(それはそれで美味しいけど・・・)
▼旅行先に楽しみがあるので、移動手段はできるだけ安くする必要がある(安いのはありがたいね)
と考えるわけですね。

顧客体験を中心に鉄道旅行を考えたとき

でもね、旅行をする人は移動中も旅の一部なんです。

乗車、移動という「点」ではなく“旅”という「面」で顧客体験を考えると、全く違った風景が見えます。

▲電車に乗る前に、チケットが送られてくる。(ワクワクが高まります。)
▲当日駅に行くと、先頭まで行って電車の顔を撮ってSNSに投稿(インスタ映え完璧!)
▲お尻が痛くなるような座席ではなく、対面で食事までできる快適なシートになります。(充実感と満足感が上がります)
▲移動中の冷えた駅弁が、現地で取れた食材をふんだんに使ったフレンチに。(ワインなんかも飲んで最高の気分!)
▲見晴らしの良い絶景スポットでは速度が遅くなり、オープン車両から風や海や緑の匂いまで感じられる(来てよかった&再度のインスタ映えポイント)
▲帰ってからはちょっと高かったけど、車内で撮った写真が送られてきて、思い出を残せる。(また行きたいな!)

どうですか?

移動だけで考えるのと、顧客体験を中心に考えるのではまったく違った商品、サービスができるんですね。
もちろん差別化も完璧で、1,000円でいける移動を、50,000円掛けて楽しめる体験に置き換えられるんです。

顧客体験について興味がわいてきたでしょうか?