SNSマーケティングを始めるにあたって必要な事 ③ターゲットが心の底から欲しがる情報を見極める
今回から8回に渡って「SNSを始めるにあたって必要なこと」と題した連載記事を書くこととしました。
全体感の理解と抑えておきたいポイントを盛り込んだ、弊社のノウハウを惜しげもなく公開します!
それでは、第3回「ターゲットが心の底から欲しがる情報を見極める」の始まりです!
第1回 KGI、KPI設定と全体への共有
第2回 徹底的なターゲット選定
目次
ターゲットユーザーを理解し、観察することが一番のコンテンツ発見方法!
突然ですが、御社の商品が化粧品だとします。
男性マーケティングスタッフは女性の悩みやニーズ、トレンドなど刻々と変わる関心や情報を手に入れられるでしょうか?
または、担当者が女性でも商品を使っているメインターゲットとずれていた場合、思考方法をターゲットにあわせることができるでしょうか?
答えは、できるが正確ではない、です。
知人や知り合いなどヒアリングを行い情報を収集しバージョンアップをすることはできるでしょう。
しかし、考え方や思考方法は獲得できません。それは実体験=顧客体験が圧倒的に足りないからです。
もしも、ターゲットにピッタリとフィットしており、入社前に商品を買っていた方がマーケターとなっても(かなりの幸運です!)やはり一人では情報と体験が足りなく、常に共感されるコンテンツを生み出すことは難しいと思います。
それではどうしたら良いか。
顧客、又はターゲットユーザーに直接話を聞いてしまいましょう!
最新情報のアップデート、トレンドの取得、ニーズ、お困りごと、考え方などなど、ターゲットユーザーが思っていることや考え方を、深く掘り下げ、コンテンツ企画の種を仕入れましょう。
ターゲットの選定時にも行った座談会(弊社ではフォーカスグループインタビューという。以下フォーカスグループ)の濃度を高めた施策を行います。
フォーカスグループの種類と考え方
座談会、グループインタビュー、フォーカスグループと聞くと、言葉は違えど何人かのユーザーに集まってもらい商品やサービスを体験してもらい意見をもらう、という印象をお持ちになるのではないでしょうか。実際には大きく異なり、インタビュー開催当日までに内部の思考を徹底的に磨き上げ、厚くしておかなければ効果は見込めません。
なぜなら、複数人のターゲットユーザーに集まってもらい、商品に対しての意見を聞いているだけでは本当に必要な情報が集まらないからです。人間というのは基本的に批判的で、不満な部分を埋めたがる性質を持っています。
なので、表層的な意見や個人的な要望というのは、自社商品の批判や競合との比較に陥るため、目的であるコンテンツの種を拾い上げる、という作業ではあまり意味を持ちません。
反対にターゲットと寄り添い、思考を理解し、共感をされるコンテンツを生み出す=もっと読みたい、もっと知りたい、と言わせるような意見が出れば成功です。
そんな、理想的なグループインタビューを行えるワークフレームがあります。
・カスタマージャーニーマップ
・エクスペリエンスマップ
・メンタルモデルダイアグラム
です。全てカタカナでとっつきづらいと思いますがご勘弁ください。
それでは3つのワークフレームを深堀りして解説します。
3つのワークフレーム
・カスタマージャーニーマップ
最近ネットなどで見かけるワードとなってきました。一番有名なダイアグラムです。
企業の既存商品を中心として、顧客がどのような行動、どのような思考をしているか、企業と顧客のつながりを視覚化したものです。
既存商品の認知から情報収集、購入決断、購入、アフタフォローなどを視覚的に追いかけます。
行動とともに顧客の感情、親切だった、わかりやすい、使いづらい、わかりづらい、他社の方が良い、などを抽出しユーザーの体験を理解します。
このマップは甘酸っぱい甘夏のような施策です。開催する度に担当者の方が落ち込み、イライラし、そして改善を猛烈に始める、そんな光景が見られます。甘いけどすっぱいのです(笑
自社では強みだと思っていた部分がユーザーからは「使いづらい」「もっと改善してほしい」「わかりづらい」など辛辣ですが、しかし貴重な意見がどんどん出てきます。
弊社でも定期的に行っていますが改善案が留まることを知りません(苦笑
SNSマーケティングで活用するコンテンツの種を探す場合は、
・自社サービスのどこが優れているのか?
→例えば接客がとても優れているとユーザーからの評価があればスタッフの紹介、接客研修の様子などをSNSで発信する
・自社とユーザーの接点はどこか?
→商品購入でしか接点がないならば、ユーザーから商品の口コミを上げてもらい発信する
・悪いところはどこか?
→商品開発をユーザーと行う取り組みを長期間配信する
例えば(この世界では)有名なエリック・バークマンが作成し、2011年発売のオライリーに掲載されたスターバックスのカスタマージャーニーマップを見てみましょう。(弊社開催のものは企業名、製品名が出てしまうのでサンプルです。)
・自社サービスのどこが優れているのか?
1)店内に入ったときのコーヒー豆のいい香りが全身を包む
2)新作からスタンダードまでたくさんの種類の飲み物が用意されている
3)フリーWifiで快適な空間
・自社とユーザーの接点はどこか?
1)エントランスでの「こんにちは」の掛け声
2)オーダーする際のスマイル
3)スローな作業と商品受け取り時の困惑
4)店を出るときの「ありがとうございました(GoodNight)」
・悪いところはどこか?
1)音楽が大きめ
2)文字が小さい
3)長い行列
4)受け取り時の困惑
5)席が少ない
コンテンツを考えるとすると
- 世界のコーヒーの種類と香の解説(SNS運用者が実際に行うと良いと思います)
- 新しい常識ノマドレポート
- コーヒーに合う音楽
- スタッフ紹介
- トレーニング紹介
- 行列中でも見れるSNS(店内POPで行列中にSNSをみてね)
- 本日のイチオシをSNS上に掲載
- ユーザーセグメントに合わせた販促キャンペーン
などでしょうか。
スターバックスは今では世界を代表するコーヒーショップチェーンですが、もしも、まだ小さく認知度がなかったら、このようなSNSマーケティングはブランディング&集客になるとは思いませんか?
徹底的にユーザー視点に合わせてコンテンツを練る必要があります。そのための助けになるのが カスタマージャーニーマップです。自社商品とユーザーの関連性を明確にした企業側に寄ったコンテンツの種が得られます。
・エクスペリエンスマップ
カスタマージャーニーマップは「商品」を中心としたコミュニケーションを可視化したものでした。
エクスペリエンスマップは名前の通り「体験」を中心としたコミュニケーションになります。ユーザーの行動そのものに焦点をあて、時系列で心理、体験を分析するツールとなります。
エクスペリエンスマップでは企業名や商品名は出てこないかもしれません。
質問内容もより抽象化します。
コーヒーを飲むときはいつで、どのような思考と行動をしますか?
子育てに対する情報収集、コミュニティー探しと参加までの思考とアクションを教えてください
旅行をするときにどのような思考と行動をしますか?
など、思考と行動を時系列で並べて可視化します。ここにもユーザーの感情を入れると面白いですね。
例えば、ホテルや旅館を経営されている企業の場合。カスタマージャー二ーマップを制作しても、施設自体の改善(ヒノキのお風呂が良い、部屋を広くしてほしいなど)は要望があってもなかなか出来ません。しかし、ソフトな部分の体験は工夫でいくらでも改善できます。ファミリーを取り込むためのエクスペリエンスマップを作ってみるとターゲットが実際に欲しがっている情報が手に取るようにわかるようになります。
自社で調べた旅行に関するエクスペリエンスマップから考察されることは
1)子供を連れた旅行では何が起こるかわからないので、情報収取を徹底する
2)ファミリー向けプランがない宿泊施設は、すぐに選択肢から排除される
3)情報収取はSNSで宿泊客の声を拾う
4)支払いが大きくなるのでカード決済が必須
5)地域情報も観光地以外の公園や施設を調べる
6)一度気に入ると慣れがあるため何度も訪れることが多い
などが読み取れます。
それではコンテンツの企画をしていきましょう。
- やはり口コミ情報が一番のコンテンツです。宿泊されたお客様に口コミを書いてもらいましょう!
- SNSでも新しいプランができたらしっかりとアピール!
- 施設紹介、支払い方法などサイトにも載っていることを定期的に情報展開!
- 地域公園や施設を季節を交えて投稿
このようにターゲットユーザーの特性を理解するとコンテンツ企画もグッと現実味と説得力があがりますね。
・メンタルモデルダイアグラム
エキスペリエンスマップはあるコトに焦点を当てた思考とアクションを可視化するものでした。
メンタルモデルダイアグラムはもっと広いターゲットの思考を拾い上げます。思考、考え方だけですので時系列も企業もありません。どちらかというとアイディアフラッシュに近い感覚があります。アイディアをターゲットからもらい、下部に自社でできること、コンテンツ化できそうなものを書き込んでいきます。
上の図は実際に弊社が実施したお菓子を食べる、という行為の裏側にある心理を5名のターゲットユーザー(女性、ワーカー、ノンワーカ混在)にヒアリングしたものです。
出てきた声をまとめると・・・
- 自分への小さなご褒美としてイライラした時、何かを頑張った時に購入意思がたかまる
- 特定の自分の好きなカテゴリーの情報収集は行う
- SNSでの情報収集がメイン。(子育て、隙間時間に受動的に受け取れるから)
- メーカーサイトのいちいちアクセスするのは面倒なのでまとめたSNSがあるとうれしい
- 新商品や限定には興味を惹かれるがタイミングが合わない場合が多い
- 贈り物では実際の店頭にて選択を行う。事前の情報収集はあまり行わない
そのままコンテンツの企画なりそうですね(笑
矛盾している所もありますので注意が必要です。
特定情報が欲しいけれども、新商品全体をまとめた情報も欲しい、などです。どちらのコンテンツが自社にフィットするか、継続的な投稿が可能なのはどちらか、で選べばいいかと思います。
ここで出てきた付加価値のある情報としては、ママさんの情報収集はもっぱらSNSになっているということです。
SNSであれば受動的に情報が受け取れますし、コメントなどが気軽で口コミ情報も見られるからです。
子育ては思っている以上に手間と労力がかかる仕事です。子供と寝そべりながらスマホでちょっと情報収集できるものがいいですね。そういった、付加情報も盛り込んでSNSの投稿を考えると反応率が高くなりそうです。
三つのマップに加えてもう一つサービスブループリントを加えた相関図はこちらのようになります。
もっとマッピングエクスペリエンスについて知りたい方はこちらを読むことをお勧めします。
実践的なことが聞きたいのであれば私のfacebookでメッセージをください!
◆facebook 岡田壮史
企画を4通り厳選し、毎日投稿して改善を図る
さて、ターゲットの考え方、思考方法、行動、感情と深堀りできました。
本当にご苦労様でした。
ここからはパズルをはめていく作業です。アカウントの解説までもう少し。頑張りましょう!
ターゲットの意見をふんだんに入れた企画を最低でも4つ作りましょう。
一つ一つが独立しており、投稿が最低でも30回はできる幅があるとベストです。30回あれば半年は投稿が持ちます。なので4企画×30回の120投稿分のコンテンツを考えればいいわけです。
また、企画作成時のコスト強弱を考えましょう。
コストやリソースを掛ければクオリティーの高いものができますが、投稿数は減ります。
反対に投稿数を稼ぎたいのであればコストやリソースはできるだけ割かないようにしなければいけません。
最低でも4つのうちの1つは投稿量を稼ぐ企画にしましょう。
弊社のコンテンツ企画は
- マーケティングコラム(質重視)
- ママプラスインタビュー(質重視)
- SNS最新ニュース(量重視)
- キャンペーン企画(量重視)
となっています。
4つの企画をまわすのは非常に大変です。ですので半年運用をしてみて全体的に反応率の高い企画を選び注力していってもいいでしょう。しかし、毎日投稿のスタイルは崩さないことが原則です。SNSは共感が一番大切なので、接触機会を増やしコミュニケーションがスムーズに行えるように努力する必要があります。
まとめ
ターゲットのことを深く理解することでコンテンツも充実します。充実すれば「私のことだ」と思ってもらうことが多くなり共感されやすくなります。そこで特別キャンペーンを実施するなどして関心を持ってもらうように取り組んでいきます。
事前調査の際に注意したいのが、バイアスに惑わされないこと、です。人間は自分で見たこと、聞いたこと、体験したことでしか想像ができません。頭を一度リセットして、ターゲットユーザーからの意見をヒアリングし理解することに努めましょう。
次回は「コンテンツ作成のチーム作りと方法」を解説します。
まだまだ準備段階です!頑張りましょう!